(CNN) 11月の米大統領選に向け、民主党候補のハリス副大統領の陣営は20日、新たなテレビ広告を立ち上げた。共和党候補のトランプ前大統領をノースカロライナ州知事選に出馬した同党候補マーク・ロビンソン副知事と結びつけようとする内容となっている。この前日、CNNの調査報道チーム「Kファイル」は、ロビンソン氏が10年以上前に発していた一連の扇動的なコメントについて、詳細に暴露していた。
ハリス陣営がトランプ氏を知事選と結びつける広告を打つのは今回が初めて。同陣営がCNNに明らかにした。
CNNが独占的に入手した広告のタイトルは「どちらも間違い」。ロビンソン氏に対するトランプ氏の過去の賛辞をちりばめた内容で、ロビンソン氏は州内における例外のない人工妊娠中絶禁止を支持するなど、中絶反対のコメントを発している。
冒頭でトランプ氏はロビンソン氏のことを「素晴らしい副知事」、「(公民権運動のリーダーだった)マーチン・ルーサー・キング牧師より優れている」と称賛している。
広告はハリス氏と副大統領候補のティム・ウォルズ・ミネソタ州知事の陣営による3億7000万ドル(約530億円)規模のデジタル及びテレビ広告キャンペーンの一環。期間はレイバーデー(労働者の日)の9月2日から大統領選投票日の11月5日までに設定されている。ハリス陣営がCNNに明らかにした。20日から、ノースカロライナ州全域でローカルニュースや人気番組の合間に流れるという。
ハリス陣営の責任者はCNNへの声明で「トランプ氏は事実から逃れられない。彼はロビンソン氏と心を同じくして、極端な中絶禁止を支持している。それは全国の女性の命を危険にさらす施策に他ならない。彼らはチャンスがあれば、さらに踏み込んで国全体で中絶を禁止にするだろう。今から投票日まで、我々は確実に有権者がそのことを忘れないようにしていく」と述べた。
新たな広告に関してトランプ陣営にコメントを求めたが、現時点で返答はない。同陣営の広報担当者は19日のKファイルの報道を受けてCNNに出した声明の中で、「トランプ大統領の陣営はホワイトハウスを勝ち取り、この国を救うことに注力している。ノースカロライナ州はその計画で重要な部分を占める。我々は有権者が力強い経済や低インフレ、国境の確保、安全な街路といったトランプ氏の実績をバイデン・ハリス政権の失敗と比較することに自信を持っている。そうしてトランプ大統領はノースカロライナ州で再び勝利するだろう。我々が目標から目をそらすことはない」と強調した。
トランプ氏に近い多くの人々は、ロビンソン氏の知事選出馬について長く懸念を抱いてきた。ロビンソン氏は過去に公民権運動を中傷し、学校での銃撃事件の被害者を嘲笑するなどの扇動的なコメントを繰り返している。
トランプ氏の側近の一部からも、問題のあるコメントの発覚を受けてロビンソン氏の知事選からの撤退を期待する声が出ていた。それでもトランプ氏は今年のノースカロライナ州でのイベントでロビンソン氏を推薦。同氏を「ステロイドを打ったキング牧師」と形容していた。