44年前の未解決殺人事件で容疑者逮捕、たばこの吸い殻が決め手に 米
(CNN) たばこの吸い殻から採取したDNA証拠により、1980年に米ワシントン州で発生した女性殺害事件の容疑者が逮捕された。地元警察が明らかにした。
ワシントン州ケントの警察によると、ケネス・デュエイン・クンダート被告(65)は先ごろ、ドロシー・“ドッティ”・マリア・シルゼルさん(当時30)を殺害した容疑で、アーカンソー州で逮捕された。
ケネス・クンダート容疑者/Van Buren County Sheriff’s Office
ケント警察によると、シルゼルさんは80年2月26日、ケント市内の自宅で死亡しているのが発見された。死因は絞死か窒息死で、頭部を殴打されており、性的暴行も受けていたという。
当時のDNA技術は、容疑者を特定できるほど進歩していなかったが、警察は初動捜査の際にDNA証拠を収集していた。
ワシントン州警察の犯罪科学捜査研究所(科捜研)の研究員たちは、この時収集されたDNA証拠から、「個人A」と名付けた未知の男のDNAプロファイルを作成した。
そして2016年に、DNA技術の進歩により、研究員たちは犯行現場にあった被害者のバスローブから部分的なDNAプロファイルを入手し、それが個人Aのプロファイルと一致した。
研究員たちは長い年月をかけて、その部分的なDNAプロファイルを複数のDNAサンプルと照合したが、どれも個人A(のDNAプロファイル)と一致しなかった。
しかし22年についに突破口が開けた。科捜研の研究員たちは、遺伝子系譜学を用いて11人の容疑者を特定した。この遺伝子系譜学は、誰のものか分からないDNAを系譜データベースにあるDNAと照合する方法で、これによりその未知の人物の親族を発見できる可能性がある。これと警察の他の捜査を組み合わせることにより、捜査官たちは容疑者の特定が可能になる。
ワシントン州の事件では、捜査官たちは、容疑者たちのDNAサンプルを収集し、個人AのDNAプロファイルと照合し始めた。
その容疑者のうちの2人がクンダート被告とその兄弟で、ふたりともアーカンソー州に住んでいた。
23年9月、ケント警察の捜査官たちは、この兄弟の調査を開始し、二人とも別の暴行事件を起こして勾留されているとの情報を得た。
ケント警察はアーカンソー州の保安官事務所と連携し、このふたりにDNAサンプルを提供するよう求めたところ、兄弟は自発的にサンプルを提供したが、クンダート被告は拒否したという。
DNA検査の結果、兄弟のDNAは個人Aと合致しなかった。
また警察は、被害者であるシルゼルさんの死亡時、クンダート被告と兄弟が、ワシントン州のシルゼルさんの自宅近くに住んでいたことを突き止めた。
そこでケント警察は今年3月、シルゼルさんの殺害現場にクンダート被告がいた証拠を探すため、アーカンソー州クリントンに出向き、連邦捜査局(FBI)や地元警察の協力を得て、クンダート被告を監視した。
捜査官らは、監視中にクンダート被告が捨てたたばこの吸い殻を拾った。その吸い殻を分析した科捜研の報告書は、吸い殻から作成したDNAプロファイルが個人Aのプロファイルと合致したことを示していた。
裁判所文書によると、現在クンダート被告はワシントン州キング郡で、第1級殺人の罪で起訴されており、保釈金は300万ドル(約4億5000万円)に設定された。