イスラエルの報復に身構えるイラン、切迫した外交展開

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イラン国旗が掲げられたテヘランの街路を歩く人々/Fatemah Bahrami/Anadolu/Getty Images

イラン国旗が掲げられたテヘランの街路を歩く人々/Fatemah Bahrami/Anadolu/Getty Images

(CNN) イスラエルの報復に備えるイラン政府が極めて神経質になっており、中東諸国との間で切迫した外交努力を展開していることが分かった。事情に詳しい複数の情報筋がCNNに明らかにした。中東諸国が今月のミサイル攻撃に対するイスラエルの報復の規模を抑制できるか、それが失敗した場合に、イラン政府を守れるかどうかを見極める狙いがあるという。

情報筋によれば、イランの不安の背景には、米国が核施設や石油施設への攻撃を思いとどまるようイスラエルを説得できるか不透明な点、中東におけるイランの最重要代理勢力であるヒズボラがイスラエルの最近の軍事作戦で大幅に弱体化している点がある。

米国は現在、イランの10月1日の攻撃に対する対応をイスラエルと協議中。複数の米当局者は、イスラエルがイランの核施設や油田を攻撃することは望まないとの意向を明確にしている。

バイデン大統領は9日、イスラエルのネタニヤフ首相と会談し、報復は「釣り合いの取れた」規模にすべきだとの考えを伝えた。両首脳の会談は約2カ月ぶりだった。

アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーン、カタールなど湾岸地域における米国の友好国も、イラン石油施設への攻撃に関する懸念を米国に伝えている。アラブ諸国の外交官はCNNの取材に、石油施設を攻撃すれば、地域全体の経済や環境に悪影響が出る可能性があると指摘した。

バイデン政権も、イランとイスラエルの間で続く報復の応酬が大規模地域戦争に発展し、米国を巻き込む可能性を深く懸念している。一連の応酬が始まったのは今年前半。イスラエルがシリア首都ダマスカスにあるイラン大使館領事部を攻撃したことがきっかけとなった。

大きく懸念されるのは、イスラエルに対する米国の影響力がここ1年で徐々に低下しているとみられる点だ。ガザ地区での作戦の場合と同様に、イスラエルはレバノンでの自制を求める米国の要請を軽視する姿勢を強め、レバノンでは先月後半以降、イスラエルの激しい爆撃と地上攻勢で1400人を超える死者が出ている。

アラブ諸国の外交官がCNNに語ったところによると、イランはサウジアラビアの支援でイスラエルの攻撃を未然に防ぐこと、米政権に対するサウジの影響力を利用して危機打開策を模索することに特に関心を示しているという。

両国の当局者はここ1カ月足らずで3回会談しており、9日にはイランのアラグチ外相がサウジを訪問した。アラグチ氏は地元メディアの取材に、訪問は「地域の発展について協議」し、「レバノンとガザでのシオニスト政権の犯罪を阻止する」目的だと説明している。

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