米、ガザへの人道支援強化をイスラエルに要請 軍事援助と引き換え示唆
(CNN) バイデン米政権は16日までにイスラエル政府に書簡を送り、今後30日以内にパレスチナ自治区ガザ地区の人道状況を改善するよう求めた。改善されない場合、外国軍事援助に関する米国法に違反する恐れがあるとし、米国による軍事支援が危うくなる可能性を示唆した。
この書簡は、イスラエルのガラント国防相とダーマー戦略担当相宛てにブリンケン国務長官とオースティン国防長官が共同で執筆したもの。米国がイスラエルにガザへの人道援助の提供を促すための重要かつ新たな措置となる。
書簡は米国の現状に対する深い懸念を示すとともに、今月中に状況を逆転させるための緊急かつ継続的な行動を取ることを求めている。
今春以来、ガザに届けられた援助物資の量は50%以上減少しており、9月の供給量は「過去1年間のどの月よりも低かった」という。
期限は11月5日の米大統領選後となる。
こうした厳しい警告にもかかわらず、米国はイスラエルへの軍事支援を継続しており、14日には高度な防空システムや派遣米軍が同国に到着し始めている。
しかし、今後の米国の援助は危機にひんする可能性がある。書簡では、国務省と国防総省は米国法に基づき、今年初めにイスラエルがガザへの援助の流れを制限しないとした確約を順守しているかどうかを「継続的に評価する必要がある」と指摘している。
米国のイスラエルに対する要求は広範囲にわたる。1日あたり少なくとも350台のトラックが四つの主要検問所すべてからガザに入ることを許可することに加え、五つ目の検問所を開設するほか、少なくとも今後4カ月間でワクチン接種や支援物資の配布などの人道活動を可能にするために、適宜1カ月にわたりガザ全域で人道的停戦を実施することなどを求めている。
イスラエルは少なくとも間接的にこの書簡に反応しているようだ。ガザへの物資搬入ルートなどを管理しているイスラエルの占領地政府活動調整官組織(COGAT)は書簡が送られた翌日、ガザ地区に送られる援助物資の写真をSNSに投稿した。
COGATは投稿で「先ほど30台のトラックがエレズ検問所を通ってガザ北部に入った。イスラエルは食糧に重点を置いた人道援助のガザへの流入を阻止していない」と述べた。「イスラエルは継続してガザ住民への人道援助の流入を許可すると同時に、イスラム組織ハマスの軍事・統治インフラを破壊する」