「お前の体、俺の選択」 米大統領選後のSNSで女性攻撃あふれる
ニューヨーク(CNN) 米大統領選でのトランプ前大統領の再選を受け、SNS上で「お前の体、俺の選択」「台所に戻れ」といった性差別的な誹謗(ひぼう)中傷が急増していることが、英戦略対話研究所(ISD)の分析で明らかになった。
白人至上主義者でホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の否定論者でもあるニック・フエンテス氏が5日夜にX(旧ツイッター)に投稿した「お前の体、俺の選択。永遠に」というポストは9000万回あまり閲覧され、3万5000回以上リポストされた。ISDは7日から8日にかけ、このフレーズへの言及がX上で4600%増えたことを確認した。
動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」でも多くの女性から、このフレーズを投稿するユーザーでコメント欄が埋め尽くされたという声が上がった。
「ニック・フエンテス」は11日の時点でもXやTikTokのトレンドに残っている。TikTokでは「お前の体は俺のもの」というフレーズもトレンド入りしたが、動画の多くはこのトレンドに反発する女性を取り上げたものだった。
「お前の体、俺の選択」というフレーズは、生殖の権利を支持するスローガンとして女性の間で使われていた「私の体、私の選択」をもじったものとみられる。
嫌がらせの増加からは、選挙結果を受けてインターネットを荒らす極右や過激主義者が勢いづいている現状がうかがえる。今回の選挙を巡っては、女性の生殖の権利をめぐる国民的な投票になるとの見方が多かった。
トランプ氏自身、遊説先で「彼女たちが好むと好まざるとにかかわらず」女性を守るなどと述べ、批判を受けていた。次期副大統領のJ・D・バンス氏も「子どものいない猫好き女性」をあざけったり、ハリス副大統領を「ごみ」と呼んだりするなど、女性に関するコメントがひんしゅくを買った。
こうした荒らしの多くは、ISDが「マノスフィア」と呼ぶネット上の現象の一部だ。ISDはマノスフィアについて、インターネット上の「女性嫌いのコミュニティーであり、反フェミニズムから女性に対するもっと露骨で暴力的な言説まで、多種多様な側面を持つ」と説明している。
専門家の間では、インターネット上の様々な挑発と同様に、こうした嫌がらせが現実世界にあふれ出る可能性を懸念する声が上がっている。
ISDは、すでに「少女たちや保護者がSNSを使い、現実に起きた嫌がらせの事例を共有している」と指摘した。
8日公表の報告書によると、「学校内でこのフレーズが女性生徒に投げかけられたり、男子生徒が授業中に連呼したりする例がある」という。
一部のケースでは、「私の体、私の選択」という投稿に対し、XやTikTokのユーザーが暴力による報復を暗にほのめかす事例も見られる。
Xにコメントを求めたものの、現時点で回答はない。ハラスメントに関するXの規約では一般に、特定の個人を狙った中傷のみを禁止している。
TikTokの広報は、「お前の体、俺の選択」のフレーズはコミュニティーガイドラインに違反しており、このフレーズに言及したコンテンツは明示的に反対を唱えるものでない限り、削除されると説明した。TikTokは暴力による報復をほのめかしたとみられるCNNが確認した動画3本を削除した。