トランプ氏勝利で国を出ると話す米国人たち、海外移住への関心が急上昇

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ダナ・マクマハンさんは大統領選後すぐにパリにアパートを借りた/Courtesy Dana McMahan

ダナ・マクマハンさんは大統領選後すぐにパリにアパートを借りた/Courtesy Dana McMahan

(CNN) 米大統領選が終わってすぐ、米ケンタッキー州在住のダナ・マクマハンさん(50)はフランス・パリに小さなアパートを借り、もともと休暇のために予約していたフライトの日程を早め、パリでの4年間の就労ビザを申請するための書類を準備し始めた。

マクマハンさんはしばらく前からフランスに住むことを夢見ていた。米国を離れることを初めて考えたのは、ドナルド・トランプ氏が2016年の大統領選で勝利したときだったという。その考えはしばらく持ち続けていたものの、踏み出せてはいなかった。

「でも、選挙がこうなったら、こうなるしかないとわかっていた」

マクマハンさんはトランプ氏の性格と過去の行動に反感を持っており、国民が「自信があり、有能で、明らかに適任の黒人女性」よりもトランプ氏を選んだことへの悲しみをブログにつづっている。

マクマホンさんだけではない。米国からの移住に対する関心は急上昇しており、移民関連業界は選挙以来、問い合わせが急増していると報告している。そして一部の米国人は選挙結果が国を離れる計画の決定打になったと述べている。

米国人の海外移住に対する関心の高さ

本気で国を離れることを考えている米国人が何人いるかを知るのは不可能だ。しかし、選挙後に移住を考える人が急増している証拠は確かにある。

「グーグルトレンド」によると、米国では11月3日から9日にかけて「カナダ移住」の検索数が12カ月間で最高に達し、その後、昨年の大半の時期で推移していた検索数をわずかに上回る水準に戻っている。

一方で、関心の高まりが大量脱出につながる可能性は低い。カナダへの移住は16年の選挙後に話題になったが、その後の移民統計で大きな増加は見られなかった。

海外移住は手続きが複雑な上、仕事や、学校に通う子ども、高齢の親など、検討を阻む要因が数多くある。

それでも、可能性を模索する人は急増しているのだ。

イタリア・アマルフィの美しい景色なら、米国人が移住を考えるのも納得だろう/Artur Debat/Moment RF/Getty Images
イタリア・アマルフィの美しい景色なら、米国人が移住を考えるのも納得だろう/Artur Debat/Moment RF/Getty Images

米国人のポルトガルとスペインへの移住を支援するウェブサイト事業者は、選挙後にサイトへのアクセスが大幅に増加し、ビザ手続きに関する問い合わせも増えたと語った。

選挙結果が発表されて以降、スペインでのビザ手続きの相談を予約する顧客は300%以上増加したという。

イタリア在住資格の取得を支援している会社は、選挙翌日の午前6時前からすでに問い合わせの電話が鳴っていたと話す。問い合わせの件数はトランプ氏が勝利した16年のおよそ2倍だったという。

「少なくとも、私たちは努力したとわかるだろう」

先のマクマホンさんほど他の人たちはまだ具体的な計画を立てていないが、米国を離れる緊急性を感じている。

共和党支持の州に住むある黒人女性は、今米国で暮らすのは「沸騰しつつある鍋の中のカニになった気分だ」と話す。

元連邦法執行機関の女性は、11月6日に目覚めたとき、夫に向かって「(国を)出よう」と言ったという。

民主党員で2児の母であるこの女性は23年に出国することを考え始めた。最高裁が大学入試におけるアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を骨抜きにした後のことだ。そして大統領選が転機となった。

女性は「トランプ氏が当選したら、全力で(出国を)進めることになると分かっていた」と話す。

40代のアフリカ系米国人のこの女性は、アファーマティブ・アクションをめぐる決定は「アフリカ系米国人が平等で、人種差別は終わり、偏見はなくなったかのように思わせる。しかし、それは事実ではない」と語った。

「物事がよくなり始めたように思えたのに、一歩前進して二歩後退しているようだ」といら立ちを募らせる。

一部の米国人はフランスでの生活を検討している/rglinsky/iStock Editorial/Getty Images
一部の米国人はフランスでの生活を検討している/rglinsky/iStock Editorial/Getty Images

この家族は、選挙が無視できないほど後退しているように感じている。

女性の子こどたちは、選挙直後は出国に賛成しなかった。その後、子どもの一人が、選挙後に全国の黒人に送られた奴隷制に言及した人種差別的なテキストメッセージを友人が受け取ったことを聞いた。子どもはおびえ、両親がなぜ出国したいと考えているのかを理解した。

女性はフランスやオランダ、ポルトガル、スペインのビザ要件を調べ始めたところだ。

民主党のハリス氏とウォルズ氏の候補が勝っていたら「絶対に」米国にとどまっていたが、ビザが下りさえすれば、夏までには家族で米国を離れる予定だという

「私たちは解決策を見つけるつもりだ。もしうまくいかなければ、戻ってくる。市民権を放棄しているわけではない。少なくとも、努力したことはわかるだろう」

女性は今、米国にとどまるのは耐えられないと感じている。

大仕事

別の国に移住することは、文化に順応し、言語を学び、友人や仕事を見つけるなど、さまざまなことを必要とする大きな決断だ。

一方で、米国で自分の政治的信念に合致した州に引っ越すことも必ずしも簡単ではない。

民主党員のマイ・グエンさんは、フロリダ州を離れて国内の別の場所に移りたいが、元夫と子どもの親権を共有しているため、それができないと嘆く。

「大げさに言うつもりはないが、女の子を育てるのに安全な環境だとはもう思えない。私たちの公教育制度は、より進歩的な州に追いつくことはできないと思うし、私たちの法律が女の子たちを守ってくれるとも思えない」(グエンさん)

グエンさんはいずれ故郷のベトナムに移住することを検討するかもしれないとしつつ、まずは民主党支持の州を探すと語った。

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