抗議活動のパレスチナ人大学院生を逮捕、強制送還は裁判所が差し止め 弾圧強めるトランプ米大統領

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逮捕されたコロンビア大の大学院生のマフムード・カリルさん/Seth Harrison/USA Today Network/Imagn Images

逮捕されたコロンビア大の大学院生のマフムード・カリルさん/Seth Harrison/USA Today Network/Imagn Images

(CNN) 米コロンビア大学で親パレスチナの抗議デモを率いたとして逮捕されたパレスチナ人の大学院生について、ニューヨークの連邦裁判所は10日、裁判所で12日に手続きが行われるまで大学院生の強制送還を差し止めるよう命じた。

逮捕されたのはコロンビア大の大学院生でパレスチナ人活動家のマフムード・カリルさん。12日に裁判所に出廷するかどうかは不明。

10日の決定では「申し立てに関して判断を下す裁判所の管轄権を保持するため、裁判所がそれ以外の命令を下さない限り、判断を示すまでは申立人を米国から排除してはならない」とした。

カリルさんは昨年、コロンビア大学でパレスチナ自治区ガザ地区の停戦を求める学生の抗議運動の先頭に立った。弁護士によれば、8日にカリルさんを逮捕した移民管理当局は、国務省からカリルさんのグリーンカード(永住権)失効を命じられて動いていると説明したという。

トランプ大統領はカリルさんの逮捕を「これから逮捕される多数の中の最初の逮捕者」と位置付ける。今回の逮捕は、大学キャンパスで行われた親パレスチナの抗議デモに対し、トランプ大統領が弾圧をエスカレートさせている実態を見せつけた。トランプ大統領は数日前、「違法なデモ」に関与した外国人留学生を強制送還し、「扇動者」を投獄すると宣言していた。

国土安全保障省は9日夜、「反ユダヤを禁じたトランプ大統領の大統領令に従い、国務省および移民税関捜査局(ICE)と連携して、元コロンビア大大学院生マフムード・カリルを逮捕した。カリルはテロ組織に指定されたハマスと連帯する活動を主導した」とXに投稿した。

カリルさんの弁護士はカリルさんの逮捕について、「学生運動と政治的言論に対する公然の弾圧、特にイスラエルのガザ攻撃を批判したコロンビア大学の学生に対する弾圧に続く措置」と位置づけ、「米政府が移民管理を言論弾圧の道具として利用していることを見せつけた」と批判した。

関係者によると、カリルさんは現在、ルイジアナ州の施設に勾留されている。当初連行されたニュージャージー州から複数の施設を転々とさせられたといい、弁護を担当する弁護士との面会を難しくする狙いがあったと支援団体は見ている。

ニューヨーク市では10日午後、カリルさんの釈放を求める抗議デモが計画されている。

支援団体によると、カリルさんは米国人の妻と暮らしている大学所有の集合住宅で、私服の係官2人によって逮捕された。

カリルさんは永住権を保持していて、妻(妊娠8カ月)がカリルさんのグリーンカードを見せたところ、係員のうち一人は明らかに混乱した様子で「彼はグリーンカードを持っています」と電話で話していたという。

しかしその後、国務省がグリーンカードも失効させたと係官に告げられたため、妻が弁護士に連絡。係員と電話で話した弁護士が、令状の写しを電子メールで送信するよう求めたところ、電話を切られたという。

コロンビア大学は9日、キャンパス周辺でICEが報告されていることを確認した。

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