マスク氏による政府縮小、破壊力は「解体工事の鉄球」並み 元職員が内幕語る
「都合のいい箱」
ビントン氏は業務の一環で内国歳入庁(IRS)にも出向き、そこでのDOGEチームの活動ぶりも目にした。IRSへ送り込まれたメンバーの多くは政府機関での経験を持たない若者だが、日々の活動を決める大きな権限を与えられていた。
同氏には、これらのメンバーがだれの下で動いているのか分からなかったという。だが、DOGEがUSDSを足掛かりとして利用するメリットはよくわかった。
「私たちのオフィスを通してホワイトハウスにアクセスし、電子メールのアカウントを使い、スタッフを採用することができた」「だから私たちは、都合のいい箱としてDOGEに利用されていると強く感じていた」と、同氏は言う。
トランプ氏はまた、USDSの所属先を行政管理予算局(OMB)から大統領府(EOP)へ移した。OMBでは情報自由法など、政府の透明性を確保するための法律が適用されたのに対し、EOPは監視の目がはるかに届きにくい。
新人職員の一斉解雇も
トランプ政権は、新たに採用されたばかりで試用期間中だった政府職員も解雇している。ビントン氏はこの動きを厳しく批判し、対象となった新人職員の多くは各機関で必要とされる特殊なスキルがあるから採用されていたのだと指摘した。
ビントン氏が一番心配するのは、将来の政権が政府のサービス提供能力を復活させようとしても、もはや不可能になってしまう事態だ。
同氏はDOGEのやり方について「手術用のメスではなく、ビル解体に使われる鉄球だということを、国民に理解してほしい」「今後数年間にわたり、政府がサービスや手当を提供する能力は著しく低下するだろう」と語り、「これは現実だ。別世界の話ではない」と訴えた。