トランプ関税の一時停止、財務省内の債券市場への懸念が背景か 情報筋
(CNN) トランプ米大統領がほぼ全ての国・地域に対して発動した「相互関税」をめぐり一部の適用を90日間にわたって一時停止すると発表した背景には、債券市場の混乱の兆候に対する財務省内の懸念が大きな役割を果たしていたことがわかった。情報筋3人が明らかにした。
ベッセント財務長官は発表前の会合で、トランプ氏に対して、こうした懸念を直接伝えたとされる。その際これらの懸念はホワイトハウス内の経済当局者が共有しているものだと強調したという。当局者らは同日早く、国債市場で加速する売りについてトランプ氏に報告していた。
債券市場の混乱は政権の当局者や市場関係者を動揺させている。これは、世界的な経済危機や株価の値動きが激しい局面で歴史的に見られた状況とは正反対なためだ。米国債は市場で最も安全な資産とみなされている。世界中の投資家は、世界の金融システムにおける米国の支配的な役割が資産の安全性を保証してくれるという確信のもと、米国債に逃げ込むのだ。
しかし、トランプ氏が掲げる関税政策によって、各国指導者が米国による長年の安全保障や経済での同盟関係の持続性に疑問を抱くようになったのと同じく、安全な資産の急速な売りによって、金融市場も同様の疑念を抱いているのではないかとの懸念が強まっている。
トランプ氏も債券市場を注視していたことを認め、関税の一時停止を発表後、記者団に対し、市場は「非常に扱いにくい」と語った。
財務省にとって特に懸念材料だったのが、10年物国債の利回りの急上昇だった。利回りが上昇すると、米国の消費者は住宅ローン金利や企業の資金調達コストなど、さまざまな面でコストの上昇に直面することになる。