拡大する中国の消費 世界経済の牽引役となれるか
レイン氏は、米国では代々工場などで働く人などが中間層としてのアイデンティティーや誇りを持っているのに対し、中国にはそのような中間層は存在せず、皆がより豊かになることを目指していると説明する。
来年3月に国家主席からも退任する予定の胡錦濤(フーチンタオ)氏が先の党大会での演説で認めたように、貧富の格差の拡大といった問題は残っている。その対策として胡主席は、2020年までに1人当たりの所得を農村部でも都市部でも10年比で2倍にするという野心的な目標を掲げた。
中国経済についての著書もあり英オックスフォード大学で教えているカール・ガース氏は、中国での消費拡大が、世界経済の成長をけん引するようになるまで続くのか、それとも、高額な住宅の購入や教育費、医療費などの新たな負担のために持続不可能となるのかがより大きな懸念材料だと語る。
可処分所得の40~50%にも達している貯蓄を人々が消費拡大に向けられるように、政府は社会保障制度の再構築を目指しているとも同氏は付け加えた。
11年の中国の経済成長の半分以上は国内消費によるものであったが、これは、全国で31ある省の内21省が最低賃金を22%引き上げるなど、政府が一般労働者の所得引き上げに尽力しているためだという。中国人は豊かになって消費を増やしており、10月の小売り売上高は14%もの増加を見せている。