中国が抱える5つの課題 専門家に聞く
一見路線に違いがあると思われる3派閥だが、国家の主要な目標については強固な意見の一致がある。政治的には共産党が独占的に権力を掌握し続けること、経済的には石油から銀行や通信まで重要分野で政府系企業が独占を維持することだ。
現在、党幹部の親族の多くは、有力企業に入ったり金融や不動産分野で事業を立ち上げたりして、発展する中国経済の利益を享受している。この状況下では、政治や経済の現状に変化をもたらすどんな改革も、既得権益にメスを入れる重大な脅威となる。
ラム氏は、有意義な政治的変革が実現する可能性は小さくなってきていると分析する。
2.消費主導経済への移行
米テキサスA&M大学のリ・ガン教授は2011年、中国の家計資産に関するこれまでで最大規模の調査を実施した。その結果、上位10%の高額所得者が資産の大部分を保有する一方、半数超の家計でほとんど貯蓄していないことがわかった。貯蓄率が低いことは、消費に回すための十分な所得がないことを示唆しているという。
同氏は、中国が輸出や設備投資依存の経済から個人消費主導へと移行するには、貧困層の所得を向上させ、支出額を上げられるかどうかがカギになると語る。