北朝鮮によるロケット発射 この時期に強行した理由とは
米政府からの抗議は、体制による「帝国主義」批判の格好の材料となる。金第1書記は最近発表した「6・28方針」と呼ばれる経済改革を進めることで、国内での威信を高めようとしている。
だが経済改革にはリスクがともなう。起業家精神の広がりや国際経済とのつながりが、体制と対立する勢力を生み出す可能性もある。
金第1書記が経済改革を進めようとするなら、正統性と威信の強化は何よりも優先すべき課題といえる。
この時期に打ち上げを強行した3つ目の要因として無視できないのが、戦略上の計算だ。韓国は今年、北朝鮮全域を攻撃範囲に収める射程1000キロの巡航ミサイルの配備を宣言。戦術的弾道ミサイルの射程延長や無人機の積載量拡大も発表した。
こうした背景に基づき、北朝鮮のロケット発射を、敵対国のミサイル網強化に対抗する軍拡競争の一環ととらえるのも、決して無理な解釈ではない。
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本記事はオーストラリア・ラトローブ大学講師のベンジャミン・ハビブ氏による特別寄稿です。