ゾウの死骸相次ぎ発見、死んだ母に寄り添う子ゾウも マレーシア
(CNN) マレーシア・ボルネオ島の森林保護区をパトロール中の当局者が31日、ボルネオゾウの子どもが死んだ母ゾウに寄り添い、鼻を伸ばして死骸に触れる場面に遭遇した。死んだゾウが見つかったのは、この数週間で14頭目だった。
ゾウの死因は現時点で調査中だが、毒物によって殺された可能性が大きいと見られている。
野生生物保護団体WWFの専門家によれば、この地域では、農地を守る目的で、パイナップルやバナナなどの餌に毒物を仕込んでゾウを殺す行為が横行しているという。
野生のボルネオゾウは世界で約1200頭しか生息しておらず、絶滅の危機に瀕している。ゾウたちはグヌンラヤ森林保護区のあるサバ州のように、低地の開けた地形を好む。同時に農地や村に入り込んで作物などを荒らす存在ともなってきた。
同国の環境観光相は保護区を管理するサバ州の野生生物局に指示して、森林当局やWWF、警察などで組織する調査委員会を設置させたことを明らかにした。
WWFマレーシア支部も調査に協力を表明。同州で森林が農地へと転換されている問題を挙げ、「農地への転換は森林の断片化を招き、結果としてゾウの群れの生息地が失われる。そのためゾウは代わりの餌や場所を探さなければならなくなり、人間と野生生物が直接対立することになる」と指摘。この問題に対応するための長期的な解決策が必要だと訴えた。
母親を失った子ゾウは「ジョー」と名付けられ、サバ州野生生物局に保護された。同局はできるだけ早く群れに戻したい意向だという。