中国北部、大気汚染で寿命5.5年短く 米誌
香港(CNNMoney) 中国で深刻化している大気汚染の影響で、北京など同国北部の住民の平均余命は5.5年短いとする研究結果を国際調査団がまとめた。
この研究結果は中国の大学の研究者などで構成する国際調査団が、米科学アカデミー紀要で今月発表した。それによると、中国を東西に流れる淮河以北に1990年代に暮らしていた住民約5億人の間では、深刻な大気汚染の影響で脳卒中や心疾患、がんを発症する人が増え、延べ25億年分を超える余命が失われたという。
北部では1950年代からの政策によって冬季の暖房が無料で提供されてきたが、この暖房に使われていた石炭ボイラーが原因で大気汚染が深刻化。北部の有害物質の量は南部に比べて55%高く、北京などの都市で有害な雲を発生させているとした。
中国で年間に燃やされる石炭の量は、世界のほかの国を合わせた量に匹敵する38億トン。2011年だけで二酸化炭素排出量が前年比7億2000万トン(9.3%)増となり、中国で発生した汚染物質は米カリフォルニア州にまで到達している。
こうした現状に対して中国指導部も対策を打ち出しているが、経済への影響の懸念から、打つ手は限られている。