窮状続くシリア難民、レバノン人の反感も増大
取材に応じてくれたシリアの人たちは、自分たちの生活が激変してしまったことが信じられないと言い、生活苦に加えて差別にもさらされていると訴える。
40代の女性は、「おまえたちを皆殺しにしたアサド(シリア大統領)の手に祝福を。そうされて当然だ」と言い放たれ、大きなショックを受けたという。
国連の統計によれば、隣国レバノンに逃れたシリア難民は60万人以上に上る。しかしレバノンは人口約400万人の小さな国。シリア難民に対する怒りの感情が強まりつつあると、支援団体の関係者は危機感を強める。
人道支援団体ワールドビジョンのパトリシア・モアマー氏は、「内戦は3年目に入った。レバノンの人たちは、最初は非常に寛大だったが、今ではその負担を背負い切れなくなっている」と説明する。
「地域によっては家賃が5倍に跳ね上がったところもある。一方で賃金は大幅に下落した。シリア人は安い給料で働き、1件の家に何世帯もの家族が暮らす。難民を受け入れるレバノン社会にとっての負担の重さを誰もが感じている」(モアマー氏)