シリア化学兵器を海外廃棄へ、行程表承認 処理地には触れず
(CNN) シリアが保持する化学兵器の処理問題で化学兵器禁止機関(OPCW)は15日、本部があるオランダ・ハーグで執行理事会を開き、来年の上半期までを期限とする廃棄作業の行程表を承認した。
声明で、化学兵器は最も安全かつ最短の方法で廃棄し、来年6月30日までの作業完了を目指すため国外に搬送すると説明。シリアが申告した化学兵器の原料となる全ての化学物質や処理前の物質は、サリン製造に利用可能なイソプロパノールを除き、来年2月5日までに国外搬出するとした。
また、毒性などが強い化学物質は今年末までにシリアから運び出す予定。申告された化学兵器関連施設については今年12月5日から来年3月15日までの間の破壊を想定。ただ、リスク管理を考慮しながら進めるともした。
OPCWはシリアが貯蔵する化学兵器の廃棄作業計画の取りまとめの期限を11月15日としていた。
ただ、声明は廃棄作業を担う国名には触れなかった。搬出先として取り沙汰されていたアルバニア政府は15日、米国が主導して計画したアルバニアの受け入れ案を拒否すると発表した。
アルバニアのエディ・ラマ首相はテレビ演説で同国は廃棄作業に必要な輸送や技術プロセスに関与し得る能力はないと言明。同国内では環境汚染や事故への懸念から化学物質受け入れに反発する抗議行動が起きていた。
同首相は当初、サリンやマスタードガスなど約1300トンの化学物質受け入れに同意していたとされる。
化学物質の搬出先について米国務省のサキ報道官は15日、受け入れ国を見付けるため複数の国と広範な協議を行っていると説明した。