「法王は私を抱き締めた」――難病の男性の人生を変えた日
イタリア北部ビチェンツァ(CNN) ローマ法王フランシスコは私の姿にひるむことなく、黙ってしっかりと抱き締めてくれた――。難病のため全身の皮膚が腫瘍(しゅよう)で覆われ、外見で差別を受け続けてきたビニチオ・リバさん(53)は、「あの日から人生が変わった」と振り返る。
今月初め、バチカンでの謁見(えっけん)行事で法王がビニチオさんを抱き締めた場面はメディアで紹介されて大きな注目を集めた。CNNローマ支局のスタッフが数週間前から取材を申し込み、このほど本人とのインタビューが実現した。
ビニチオさんの病気は、皮膚に腫瘍などができる「神経線維腫症I型」。伝染性ではなく遺伝性の難病だ。亡くなった母親も晩年発症し、姉妹にも軽い症状が出ている。おばのカテリーナ・ロットさんによると、ビニチオさんの下着は腫瘍からしみ出す血液でびしょぬれになることがあるという。
バスの中で空いている席に座ろうとすれば、隣の乗客に拒否される。自分の姿に向けられる驚きや恐れの視線には慣れていた。
ロットさんらとバチカンを訪れた時、ビニチオさんは長時間立っていられないため車椅子に乗っていた。「法王の近くまで行けるとは思わなかったが、衛兵に案内されていつの間にか最前列に立っていた」と、ロットさんは話す。