母親が娘を売る――カンボジア児童売春の実態
キエウさんは現在、児童買春の犠牲になった子どもたちを支援する団体、アガペ・インターナショナル・ミッションズ(AIM)の保護施設で暮らす。施設にはわずか4歳の女児もいる。団体を率いる米国人の元牧師、ドン・ブルースター氏(59)はスワイパー村の実情を知り、3年前に妻のブリジットさんとともにここへ移り住んだ。
「この村は小児性愛者が幼い少女を求めてやって来る場所として、世界中に名を知られている」「私たちがここに住み始めた当時、8~12歳の子どもはひとり残らず売り飛ばされていた」と、ブルースターさんは話す。地元の少年少女だけでなく、農村部や隣国ベトナムからも、子どもたちを乗せた車が集まってきた。
多くの少女たちが売春業者に売られる状況は今もあまり変わっていない。村では最近取り締まりが強化されたが、カラオケ・バーを装った売春宿が多数出現するなど、闇の営業が増えるばかりだ。
国連児童基金(ユニセフ)の推計によると、カンボジアの性労働者4万~10万人のうち、約3分の1を子どもが占めているという。その背景には警察の権限の弱さや売春業者との癒着、貧困問題などがあると、専門家らは指摘する。