シリア犠牲者の遺体に「拷問の跡」、アサド政権が関与か
犠牲者がアサド政権に殺害されたと断定するに至った根拠については、「カメラマンがいて写真があり、署名や日付の入った書類もある」と指摘。写真の遺体にはすべて識別番号が付いていて、手に番号札を握らされているものもあった。
この識別番号は、拘束していた人が死亡した時点で、身元や担当の治安部隊が分かるように割り振られたものだという。遺体は軍の病院に送られて写真を撮られ、医師や司法担当官が検視を行って死亡証明書を発行。遺族に見せるため、「心臓発作」「呼吸困難」など虚偽の死因を書き込むこともあったとされる。
シリアの内戦でアサド政権側は一貫して人権侵害は行っていないと主張、反体制派を「テロリスト」と呼んで非難している。
しかし報告書では、こうした手順が定められ、遺体が全て撮影されていたこと自体、「上からの命令で組織的な殺人」が行われたことを強くうかがわせると断じた。
クレーン氏はシエラレオネ内戦中の戦争犯罪を裁くシエラレオネ国際戦犯法廷で検察官を務め、リベリアのテーラー元大統領の訴追にかかわった人物。報告書をまとめた調査団は、クレーン氏のように国際戦争犯罪法廷で検事を務めた人物のほか、法医学、人類学、デジタル画像の専門家で構成される。