「シリア政権が塩素ガス使用の疑い」 米当局者
(CNN) 内戦が続くシリアで、アサド政権が反体制派支配地域の住民を塩素ガスで攻撃したとの疑いが強まっている。米当局者らがCNNに語った。
シリア中部ハマ県のカファル・ゼイタでは今月11日、化学薬品を使ったとみられる攻撃で住民少なくとも2人が死亡、数十人が呼吸困難などを訴えた。複数の米当局者や欧米外交筋によると、米政権はヘリコプターから塩素ガスを発する爆弾が投下されたと推定し、「アサド政権の仕業以外に考えられない」との立場を示している。反体制派は空爆用のヘリを持っていない。
米国務省のサキ報道官は21日、「シリア政府がカファル・ゼイタで塩素とみられる化学薬品を使った可能性」を調べていると言明した。
11日の攻撃を巡っては、シリア反体制派が呼吸困難に陥った住民らの映像を公開し、アサド政権による攻撃だと非難。これに対して政権側は、反体制派が攻撃を仕掛けたと主張している。
アサド政権は国連安全保障理事会決議に基づき、化学兵器の廃棄を進めてきた。塩素はびらん剤のマスタードガスや神経ガスのサリンなどと比較して毒性が低く、廃棄対象のリストには掲載されていないが、シリアが昨年加盟した化学兵器禁止条約で使用が禁じられている。
米政府内部ではアサド政権への厳しい対応を求める声が上がる一方、より毒性の高い化学兵器の廃棄処理に影響が及ぶことを懸念する慎重論も出ているという。