少数民族が窮状に、飢えや乾きで子どもら数十人死亡 イラク
(CNN) イスラム過激派組織が勢力を強めているイラク北部で、ニネベ州シンジャルの町から山間部に逃れた少数民族ヤジディの住民が孤立し、生命の危険にさらされている。数万世帯が猛暑の中で食料も水も医薬品もない状態に置かれ、数十人の子どもが渇きのために死亡したという。
同地ではイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国(旧イラク・シリア・イスラム国=ISIS)」が攻勢を強め、キリスト教や少数民族、イスラム教シーア派の住民などが標的とされてきた。
ヤジディ系の国会議員は演説の中で、これまでにヤジディの子ども70人が死亡したほか、女性は殺害されたり人身売買され、男性500人あまりが虐殺されたと述べ、助けが必要だと涙ながらに訴えた。
「48時間の間に3万世帯が水も食糧もないまま山間部に取り残された。状況が悪化する中で老人50人が死亡し、女性は捕まって人身売買された」と同議員は語る。
国連児童基金(ユニセフ)も5日、この数日でヤジディの子ども40人が、脱水症状などのため死亡したと発表した。「2万5000人もの子どもがシンジャル周辺の山間部で孤立しており、飲料水や衛生設備などの人道援助を緊急に必要としている」という。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによれば、シンジャルから住民が避難した山間部は、イスラム国の戦闘員に包囲されている。行方不明になった民間人数百人は、殺害されたり拘束されたりしたと伝えられているという。
ヤジディはクルド系の宗教民族で、約50万人がシンジャル周辺に住んでいた。