CIAのスパイになったアルカイダ戦闘員、CNNに過去を語る
(CNN) 2つの世界、2つの正体、そして死と背中合わせの日々。イスラム原理主義者から欧米情報機関の工作員に転身したモートン・ストーム氏が、CNNとのインタビューで波乱の半生を振り返った。
ストーム氏はこのほど「Agent Storm」と題した本を出版し、国際テロ組織アルカイダの内部での体験を暴露した。CNNとのインタビューで「私にはモートン・ストームのほかにムラド・ストーム、アブ・オサマ、アブ・ムジャヒドという名前があった」と語った。
著書の中で「私は50年間、2つの世界と2つの正体を使い分けていた。ひとつ間違えただけで命を落としかねない状況だった」「無神論とイスラム強硬派の間、英語とアラビア語の間を常に行き来していた」と述べている。
ストーム氏の出身地はデンマークの小さな町。森や浜辺を駆け回って少年時代を過ごした。母子家庭の境遇に不満を持ち、十代になると強盗事件やけんかなどの問題を起こした。やり場のない怒りをボクシングにぶつけていたという。18歳で刑務所に入り、出所後は暴走族に入った。
しかし、町の図書館でイスラム教の預言者ムハンマドの生涯を書いた本に出会って人生が変わった。「真実を見つけた」と感動し、ムラドと名前を変えてイエメンへ渡った。
同国でイスラム教の厳格な解釈とアラビア語を学び、自分の息子にアルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者と同じ名を付けた。のちにアルカイダ系テロ組織、アラビア半島のアルカイダ(AQAP)の指導者となる米国籍のアンワル・アウラキ師とも親しくなった。