ISISがシリア北部で60村落を掌握、虐殺発生の懸念も
トルコ・イスタンブール(CNN) シリアの反体制派「シリア人権監視機構」は19日、イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」による同国北部から中部にかけた少数派クルド人地区への侵攻が続き、過去3日間で約60カ所にある村落を新たに支配下に置いたと報告した。
ISISは19日だけで39の村落を制圧したとし、クルド人の武装組織が陣地から撤収した結果としている。
北部がトルコ国境に近いコバニ町では3方向からISISが攻め入り、孤立した状態にある。クルド人活動家によると、同町では交戦が頻発しており、ISISは戦車や重砲などを使い攻撃している。衝突は過去4日間続いている。
クルド人側の兵士動員が十分ではなく、国際社会が介入しなければ、虐殺など新たな人道危機が発生する恐れがあると警告した。ISISが掌握した村落の住民がコバニ町などへ逃げ込んでいるが、ISISは一部を拉致しているという。
イラク北部のシンジャル市では先月、ISISに追い詰められた住民が近くの山に逃げ込んで立ち往生し、飢餓の危機にも直面する事態が発生。米軍が空爆に踏み切り、住民の窮地を救っていた。
イラクのクルド地域政府のバルザニ大統領は、シリア北部におけるISISの攻勢を「民族浄化」と非難し、国際社会が早急に対抗措置を講じるよう求めた。
トルコ政府はコバニ町などから避難してくるクルド人住民の急増を受け、国境を開放した。