人質救ったマリ出身の男性、フランス国民に
(CNN) 4人の犠牲者を出したパリの食料品店の立てこもり事件で、命がけで多くの客をかくまったマリ出身の男性が20日夕、フランス国籍を授与され、バルス首相とカズヌーブ内相からパスポートを贈呈された。
この事件では風刺週刊紙「シャルリー・エブド」襲撃に続き、パリ東部の食料品店に銃を持った男が押し入り、客などを人質にして立てこもった。
同店に勤務するラサナ・バティリさん(24)はとっさの判断で15人の客を階下の大型冷凍庫にかくまい、冷凍庫のスイッチを切って明かりを消した。自身は犯人の指示に従い階上に行き、隙を見て逃げ出して警察に店内の状況を知らせたという。
この事件で人質になった4人が命を落としたが、バシリさんがかくまった15人は無事だった。
バシリさんはイスラム教徒。カズヌーブ内相はパリで20日夕に開かれた式典で、バシリさんの行動を「勇気と人道」の行為と評し、「イスラム教の平和と寛容の象徴」とたたえた。
16歳でフランスに来て、子どものころから市民権獲得を夢見ていたというバシリさん。「その夢が今日かなった。予想より少し早かった」とほほ笑む。
バルス首相も「我が国の最も美しいイメージの1つがここにある」とバシリさんを称賛すると同時に、「フランスに新しい市民を迎えることは、フランス人となる本人だけでなく、この国にとってのチャンスでもある」と強調した。
続いて壇上に上がったバシリさんは「フランス市民権を授与されたことに心から感謝します」と喜びを語った。