イタリア客船座礁事故、元船長に禁錮16年の判決
イタリア・グロセット(CNN) 2012年1月にイタリア中部のジリオ島沖で大型客船「コスタ・コンコルディア」が座礁して32人が死亡した事故で、イタリアの裁判所は11日、過失致死などの罪に問われていた同船の船長、フランチェスコ・スケッティーノ被告に対し、禁錮16年の有罪判決を言い渡した。
検察は、船長について、臆病者のように船を見捨てた「愚か者」だと主張。一方、被告側の弁護団は、船長は体のバランスを崩してたまたま救命ボートに落ちただけだとしたほか、船長はイタリアのイメージを守るための「スケープゴート」にされようとしていると述べた。
3人の裁判官が採用したのは検察の見方だった。
1年以上に及んだ裁判では、乗客を含む多くの目撃者や乗組員、技術的な専門家が証言を行った。
そのなかには船長の個人的な「客」もいた。モルドバ人ダンサーのドムニカ・チェモルタンさんは当時スケッティーノ被告と恋愛関係にあり、事故発生時も一緒に操舵(そうだ)室にいたと証言した。
スケッティーノ被告は、船をジリオ島に接近させた理由を「乗客を喜ばせるため」と述べた。だが結局、これが座礁の原因となった。
判決前に発言の機会を与えられたスケッティーノ被告は涙ながらに事故当時を振り返り、「私は32人とともに死んだ」と述べた。また事故の後、「メディアにずたずたにされた」とし、自らも被害者になったと語っていた。