タイ南部で30人の遺体発見 人身売買被害の少数民族か
バンコク(CNN) タイ当局によると、同国南部のマレーシア国境付近に人身売買業者が設置した収容所で、被害者とみられる30人以上の遺体が見つかった。ミャンマーやバングラデシュ出身の少数民族、ロヒンギャ族とみられる。
当局はある事件の容疑者からの供述に基づき、1日にこの収容所を発見した。30~40人の遺体が浅く掘った穴に埋められたり、毛布や布をかぶせて放置されたりしていた。腐敗が激しく、身元や国籍が確認できない状態だという。
遺体とともに、ミャンマー人とみられる男性の生存者1人が見つかった。男性は健康状態が非常に悪く、病院に収容されている。
警察は周辺を封鎖して捜査を開始した。首都バンコクから法医学の専門家らが現地へ向かっている。
国際人権擁護団体、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)によれば、死亡したのは人身売買業者に拉致されたロヒンギャ族とみられる。被害者らは業者が取引先から代金を受け取るまでの間この収容所に拘束され、飢えや病気で亡くなった可能性がある。
HRWのアダムス・アジア局長は、「タイにおける人身売買はずっと前から手に負えない状況だ」と指摘した。
米国務省が昨年発表した人身売買に関する報告書でも、タイは3段階のうち最も低いランクに分類された。特にミャンマーから逃れてきたロヒンギャ族をはじめ、少数民族や近隣諸国の住民が強制労働、性的搾取の危険にさらされている。
昨年1月には同じ地域にある別の収容所で、ロヒンギャ族の男女と子どもたちが計数百人拘束されているのが見つかった。