「恐怖が支配」、エリトリアで重大な人権侵害 国連調査
強姦や拷問によって自供を強制されたとの証言もある。理由も分からずに拘束され、そのまま行方不明になる人が多い。行方を尋ねた親族は「同じ目に遭う」と脅される。
組織的な人権侵害がこれほどの範囲と規模に及ぶ例はほとんどないと、国連は指摘する。
同国では1995年に徴兵制が敷かれ、さらに02年には18歳未満の少年少女に6カ月間の軍事訓練が義務付けられた。訓練所では性暴力が横行している。訓練以外の場でも未成年の生徒らが脅されて労働を強いられるなど、「奴隷制に近い」状況がみられる。
こうした現状から逃れようと、昨年半ばまでに35万7000人余りが国外へ脱出。現在も毎月5000人前後が、地中海を渡るなどして逃亡を図る。
この調査結果は今月、ジュネーブで開催される国連人権委員会の会合で正式に報告される。
国連はエリトリア政府に調査許可や情報を求めたが、応答は得られていない。同国の大統領報道官や外務省は、この報告を「作り話だ」などと強く批判している。