「恐怖が支配」、エリトリアで重大な人権侵害 国連調査
(CNN) 「法ではなく恐怖が支配する国」――。アフリカ北東部エリトリアの人権状況を調べていた国連の調査委員会がこのほど、同国政府による重大な人権侵害を指摘する報告をまとめた。
国連は匿名の証言者500人余りを対象に聞き取り調査を実施。事実上の性奴隷制度や、裁判手続きなしで横行する処刑、強制労働などの実態を調べた。
報告書によると、エリトリアの国民は政府に人権を奪われ、日常生活のあらゆる面に干渉されて「絶え間ない不安状態」にある。
国民は政府に常時監視されて、その結果得られた情報を理由に拘束されたり、拷問を受けたりする。行方不明者や死者も後を絶たないという。
国外への渡航は厳しく制限される。一時は逃亡を図った者をその場で射殺するルールが施行されていた。国連の調査でも、一部の証言者は「標的になったことがある」と話した。国境に近付いただけで厳しく処罰され、外国から帰国した後で拘束され、拷問を受ける人もいる。国内での移動にも旅行許可証や身分証明書が必要だ。
政府に何か質問するだけで処罰され、平和的な抗議行動も阻止される。デモ参加者が裁判なしで処刑されることもある。
政府が認定する宗教はカトリックやイスラム教スンニ派など4つだけ。ほかの宗教は02年以降すべて非合法化された。信者は法律上の人格さえ認められない。書物などが押収され、信者らが姿を消したケースも少なくないという。
国連の報告書は、「司法によって基本的人権を守れる状況ではない」「この国で公正な裁判は不可能だ」と結論付けている。