ビンラディン容疑者の手紙公開、テロ資金の実態など記す
イスラム国家の樹立を掲げる過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」とアルカイダの理念の違いも鮮明になった。ビンラディン容疑者は、広く支持を集めるのが難しいことや、日常的な統治の負担を理由に、イスラム国家樹立に向けた取り組みには二の足を踏んでいた。
私生活では身内の教育や医療のことを心配する一面も見せている。死の3カ月前の手紙では、一族のある女性について、女性医師の診察を受けさせ、もし症状が続くようであればX線検査を受けさせるよう助言していた。
また、自身の兄弟が歯科医を受診できたことに感謝する手紙もあった。一方で、妻の1人がイランで歯科医を受診した際に、小型追跡装置を歯の中に埋め込まれた可能性があるという不安ものぞかせている。
ビンラディン容疑者は行動を追跡されることを常に警戒していた様子で、側近に対しては空からの偵察を免れるため天気の悪い日のみ外出し、現金の運搬に使ったスーツケースは捨てるよう指示した。
米国に対しては、オバマ大統領が就任した後も、米国がイスラエルを支持する限りは攻撃を続けると表明していた。
今回公開されたのは、ビンラディン容疑者の隠れ家から押収した文書の中から情報当局が選んだ100点あまり。機密指定を解き、アラビア語から英語に翻訳した上で公開された。年内には機密指定が解除された文書の第2弾が公開される見通し。