東日本大震災から5年 福島の現場を行く
日本政府は除染のために多くの費用をつぎ込んでいるが、汚染土などの除染廃棄物は袋に詰められ保管場に何千と積まれている。
こうした汚染水や汚染土をどのように処理するのか、はっきりとはしていない。東電は廃炉までに最長40年かかると試算している。
福島第一原発の事故を受け、赤十字によれば、周辺に住んでいた30万人超が避難した。
事故から5年がたっても、まだ数万人が仮設住宅で暮らしている。仮設住宅の入居期限は通常は2年とされている。仮設住宅に残っている人の多くは高齢者で、移り住む先の選択肢はほとんどない。
マツモト・セツコさん(65)は福島県双葉町でヘアサロンを経営していた。双葉町は町の全域が避難区域に指定されている。
双葉町の住人は1日当たり5時間だけ自宅を訪れることができるが、マツモトさんは2年以上自宅を訪れたことがないという。地震で破壊された部屋を歩くのはつら過ぎるという。そこはかつて家族が集まったり、お祝いしたりした場所だ。
マツモトさんによれば、事故前は家族みんなが歩ける距離に住んでいたが、今では1人で暮らしているという。