ミャンマー大統領選、与党が元運転手のスーチー氏側近を擁立
ミャンマー・ヤンゴン(CNN) 昨年11月の総選挙で大勝したミャンマーの政党、国民民主連盟(NLD)は10日、新大統領の候補としてNLDを率いるアウンサンスーチー党首の側近であるティンチョー氏の擁立を届け出た。
同氏はスーチー氏の元運転手の経歴も持つ。英オックスフォード大学卒業生で、義父はNLDの共同創設者となっている。
新大統領の選出に当たっては、国会の上下両院と軍がそれぞれ副大統領候補を指名し、うち1人が大統領に選ばれる。残りの2人は副大統領に就任する。新大統領を決める国会投票は国会の休会があり早くても11日までには実施されない見通し。
ただ、NLDが総選挙で過半数を大幅に超える議席を得たことを踏まえれば、ティンチョー氏の大統領就任が濃厚となっている。
軍は上下両院でそれぞれ25%の議席を握る。この勢力の存在が、与党が憲法改正を試みる際などの大きな障害となっている。軍事政権下で2008年に定められた憲法は外国籍の家族がいる人物は大統領になれないと規定。大統領就任への方途を模索してきたとされるスーチー氏の息子2人は英国籍となっている。
同氏はこの中で、大統領を超えた存在として国政に関与するとの考えを示している。ティンチョー氏が仮に大統領に就任しても、実権はスーチー氏が握る可能性が大きい。
スーチー氏は過去30年間、政治改革などを目指してNLDを率い、この間、自宅軟禁などの迫害を再三受けていた。昨年11月の総選挙は軍政の民政移管への同意により、同国で過去25年で初めて実施された民選選挙だった。