拉致した少女を自爆犯に 生還者が語るボコ・ハラムの新戦法
最も弱い存在の少女たちが、最も恐れられる。こんな状態が続けば社会の信頼関係が崩れ、住民たちを守るはずの当局への信頼さえ損なわれてしまう。ユニセフの担当者は「恐怖のどん底からようやく助け出された少女たちが、今度は社会から排斥される。これは二重の悲劇だ」と指摘する。
ボコ・ハラムの攻撃はキャンプのすぐそばまで迫っている。治安当局は難民の間にボコ・ハラムが紛れ込んでいると指摘するが、難民たちはそれよりも、ファティさんのように拉致から生還した少女たちを恐れている。「見たことのない少女を見かけたら、自爆犯かもしれない」――難民のリーダーはそう警戒する。こうした感覚は、ボコ・ハラムが活動する地域全体に広まっている。
それでもファティさんは、生きて帰れたことにただ感謝している。3月末にはキャンプ内で同じ村の出身者と出会い、電話で母親と連絡を取ることができた。母親は村の住民たちから資金を集め、2日間かけてキャンプまで会いに来たという。
しかしサンビサの森には、今も多くの少女たちが残っている。そしてきょうも何人かの少女が、生き延びる可能性にかけようと自爆を志願しているかもしれない。