中国の「グアム・キラー」、域内の安定に脅威 米報告書
米シンクタンク「ランド研究所」は北京で昨秋実施された軍事パレード前に報告書をまとめ、アンダーセン空軍基地を西太平洋で通常の弾道ミサイルの脅威の範囲外にある唯一の米軍基地とも形容していた。
グアム島と北京の間の距離は2500マイル(約4023キロ)。中国が保持する地上配備型中距離ミサイルの射程距離より700マイル遠い。ただ、米国防総省によると、DF26などのミサイルの射程距離は最長で3400マイルと伸びている。
ランド研究所は昨年の報告書で、DF26ミサイルが100発使われた場合、アンダーセン空軍基地での大型機の離発着は11日間不可能になると分析。領有権論争で緊張が高まる南シナ海を含む環太平洋地域の安定性への脅威になると主張した。
米中経済安全保障検討委員会の報告書は、中国指導部は米軍戦力の西方展開の要の拠点であるグアム島の無力化への成功を確信すれば、軍事力行使に積極的に踏み切るだろうとも説明。昨年9月の軍事パレードで披露されたDF26ミサイルの発射装置は16基のみだったが、パレードに登場したこと自体、作戦兵器として既に配備されたことを示唆していると指摘した。
南シナ海では最近、中国がスプラトリー(南沙)、パラセル(西沙)両諸島などで人工島造成や軍事用に転用可能な施設建設などを加速させ、沿岸国・地域間の主権論争が激しくなっている。米軍は中国の人工島造成を非難、周辺での領海、領空設定の主張の正当性を否定するため駆逐艦や軍用機を近辺に派遣する行動にも踏み切っている。