イラン議会、米国に過去の損害補償求める
(CNN) イラン議会で17日、同国が過去63年間に米国から被った精神的、物的損害について補償を請求する法案が、賛成多数で可決された。国営メディアが同日付で伝えた。
議会は損害の例として、1953年のモサデク政権への軍事クーデターにおける米国の関与、80~88年のイラン・イラク戦争でのイラク側への支援、80年代末の石油掘削施設の破壊などを挙げた。
英字紙テヘラン・タイムズによると、補償請求の法案は賛成174、反対7で可決された。同紙はアンサリ副大統領の話として、国内の裁判所が米国に500億ドル(約5兆4800億円)の支払いを命じていると伝えた。
今回の決議は、米国の最高裁判所が先月、イランは自国が関与したテロ事件で被害を受けた米国人の遺族らに対し20億ドル近い凍結資産を引き渡すべきだとの判決を下したことへの対抗措置とみられる。
米国では2001年、レバノンの首都ベイルートで1983年に起きた米海兵隊兵舎爆破事件で死亡した241人の遺族らが、イランを相手取って訴訟を起こした。連邦裁判所は2003年、親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラがイラン政府の指示を受けて同事件を起こしたと断定した。
イランの議会は現在、保守派が多数を占めている。今年2月の議会選で選ばれた新議会は今月28日に発足する予定。選挙では定数290のうち改革派が83議席、独立系が60議席を占め、保守派は78議席に後退した。