イラク軍兵士らの死者数、１１月は２０００人近く

イラク北部アルビル（ＣＮＮ） イラクで過激派組織「イラク・シリア・イスラム国（ＩＳＩＳ）」の掃討作戦が続く中、国連は３日までに、１１月に戦死したイラク軍兵士らの数は同国全土で２０００人近くに上るとの報告書を発表した。北部モスルの奪還に向けた攻勢が始まった１０月から３倍近くに増えた形だ。

１１月の戦死者数に含まれているのは、イラク軍兵士と戦闘に従事している警察官、クルド人部隊「ペシュメルガ」の戦闘員、これらと連携する民兵。

イラク治安部隊が先月にモスルに進攻して以降、イラク主導有志連合による進軍のペースは鈍化した。モスルでは市街地に人口が密集しており、治安部隊員らは同市に深く潜伏するＩＳＩＳの戦闘員に対し、通りごとに戦闘を展開しなければならない状況となっている。

モスルに住む民間人も多大な犠牲を払っている。モスルの住民はイラク政府により自宅にとどまるよう促された。大量避難により人道危機が発生する可能性を避けるのが狙いだが、この措置自体が人命の喪失を招いている恐れもある。

イラク担当国連事務総長特別代表のジャン・クビス氏は声明で、ＩＳＩＳはモスルや周辺地域の領土を死守するため、民間人を拉致し「人間の盾」として使っているほか、民間人の住宅を攻撃拠点に使用していると指摘した。

１日に発表された報告書によると、イラク全土では１１月、テロや暴力などにより民間人９００人あまりが死亡、９３０人が負傷した。国連難民高等弁務官事務所（ＵＮＨＣＲ）などによれば、戦闘により７万６０００人が避難を余儀なくされているほか、モスル市内にとどまる住民ら少なくとも５０万人は水道を使用できない状況になっているという。