イスラエル国会、無許可入植地を合法化する法案可決
エルサレム(CNN) イスラエル国会は9日までに、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のパレスチナ人私有地に建てられたユダヤ人入植者向け住宅約3000戸を合法化する法案を可決した。採決結果は賛成票60、反対票52だった。
今回対象となったのは、ヨルダン川西岸で過去20年以上にわたって拡大していた小規模の無許可で建設されていた「アウトポスト」と呼ばれる入植地。イスラエル政府が承認する入植地近くにあるが、政府は建設を認めていない。
合法化の法案可決で、2国家共存の実現が軸となっているパレスチナ和平交渉がさらに後退するのは確実とみられる。
国連安全保障理事会は昨年12月、イスラエルによる入植地建設を非難する決議を採択。同国は先週、ヨルダン川西岸で新たな建設計画を発表するなどして決議無視の構えを見せている。
中東和平プロセス担当のニコラ・ムラドノフ国連特使は法案が可決された今月6日の声明で、同法が成立した場合、和平交渉の展望は大きく後退すると警告。パレスチナ自治政府当局は今回の可決を受け、ヨルダン川西岸の併合化への明らかな1歩と非難した。
一方、イスラエルのミリ・レゲブ文化・スポーツ相は併合へ向けた歴史的な動きと称賛した。ただ、イスラエル内では和平交渉推進の運動に従事するNGOなどが法案可決に反対しており、最高裁に提訴される可能性が大きい。国会にはイスラエル領土ではない土地の問題をめぐっての立法権はないというのが上訴の根拠になるとみられる。
国際法ではヨルダン川西岸はイスラエルの占領地と受け止められており、全ての入植活動やアウトポスト建設は違法となっている。イスラエルはこの判断に異議を唱えている。