トランプ氏、NATO首脳会議で演説 識者から「失望」の声
ワシントン(CNN) トランプ米大統領は25日、ブリュッセルで開催された北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議で演説した。この内容を巡り、NATOの仕組みに対する理解が欠けているとして専門家から厳しい指摘が相次いでいる。
トランプ大統領は演説で、NATO加盟諸国が国内総生産(GDP)の2%という防衛費の目標を達成せず、米国の納税者に損をさせていると非難した。だがこれは、NATOへの拠出制度を誤解した発言だ。また、集団防衛への支持を明言しなかったことにも批判が集まっている。
ジョージ・W・ブッシュ政権でNATO大使を務めたニック・バーンズ氏はこう述べた。「1949年のNATO創設以後、(集団防衛を定めた)NATO条約5条に触れなかった大統領は初めてだ。歴代の大統領が集団防衛への支持を再確認してきたし、今日はトランプ氏がそうすべきだった」
「非常に失望させられる演説だった」とバーンズ氏は述べた。「防衛費を増やすよう同盟国に求めるのは支持できるが、時と場所を選ぶべきで、今回は適切ではなかった」
バーンズ氏はまた、NATOの盟主としての米国の立場を揺るがしかねない演説だったと苦言を呈す。「NATOは米大統領にリーダー役を期待している。(トランプ氏は)それを理解していない」
トランプ大統領は演説で、NATO加盟国の多くについて「過去に多額の借りがある」と明言。米国がこれらの国々への貸し手になっているとの認識をにじませた。
だが戦略国際問題研究所(CSIS)のジェフ・ラスク氏は「金銭的な借りがあるという考えは完全に誤っている」と指摘する。各国の防衛費とNATOへの拠出金とは無関係だからだ。
「加盟国が過去に拠出を怠ったために背負っている『借金』など存在しないことは、NATOに詳しい人間なら誰でも知っている」とラスク氏は言う。