カナダ、国防費7割増 今後10年で
(CNN) カナダのハルジット・サージャン国防相は8日までに、国防費を大幅増額し2026年には327億カナダドル(約2兆6600億円)の水準にするとの政策目標を掲げた。
2016~17年の189億カナダドルに比べ、70%以上の積み上げとなる。カナダ軍の参謀本部首脳は声明で将来へ向けての顕著な投資と強調。柔軟性や対応能力を保ち、戦闘兵力を維持し、世界各地への派兵の準備能力を備えるための措置とした。
国防費の増額分は現役兵士3500人、予備役兵士1500人の増員に充て、総兵力をそれぞれ7万1500人と3万人に拡充する。また、新型艦船と航空機の調達にも注力し、老朽化が目立つ戦闘機CF18型機を更新させる計88機を整備する。
カナダの国防費が国内総生産(GDP)に占める比率は昨年時点で0.99%で、加盟する北大西洋条約機構(NATO)の中では28加盟国のうち23番目の数字となっている。ただ、国防費の総額では5番目の多さになっている。
NATOが加盟国に提言する国防費の水準はGDP比で2%。カナダが今回打ち出し増額を実現させたとしても、この水準には届かない。
トランプ米大統領はNATO加盟国の低水準の軍事支出費を再三批判し、先月のNATO首脳会議ではトルドー・カナダ首相を含む指導者に苦言を呈してもいた。
今回の国防費の激増方針については米政府やNATO指導者は歓迎を表明した。サージャン国防相は新たな戦闘機88機の配備は米国との共同防衛協定である北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)やNATOにおけるカナダの責務を十分に果たすために必要と強調した。