シリアでサリン攻撃の事実確認、化学兵器禁止機関
(CNN) 化学兵器禁止機関(OPCW)は1日までに、内戦下にあるシリア北西部イドリブ県で今年4月4日、住民89人が犠牲となった化学兵器攻撃に猛毒のサリンが用いられたことを確認したとの報告書を発表した。
攻撃を受けたのはイドリブ県ハーン・シェイフン町で、OPCWはこの後、調査を開始していた。現場で撮影された画像や動画には口から泡を吹き、呼吸困難に苦しむ子どもを含む被害者の姿が収められていた。
シリア内での近年の攻撃では最大級の犠牲者数が生まれており、米国は化学兵器使用への報復としてシリア政権軍の空軍基地へ巡航ミサイル「トマホーク」を59発撃ち込んでいた。
OPCWのウズムジュ事務局長は報告書に関する声明で、調査団がサリン使用を確認したと指摘。この恐るべき攻撃の実行者の罪を問わなければならないと主張した。
調査団は治安上の理由でハーン・シェイフン町に到達出来ず、検視立ち会い、生物医学的な検体収集、目撃者への面談や環境サンプルの使用などに基づき報告書をまとめた。化学兵器攻撃の実行者の特定などは責務ではないとの立場を示していた。
攻撃にはシリア政府が関与しているとの見方が強い。ただ、同国政府は一貫してこれを否定し、テロ勢力の仕業と主張している。
ジョンソン英外相はOPCWの報告書を受け、攻撃はアサド政権の責任とする見方を支持すると表明。サリン使用の確認は無視出来ず、国連とOPCWの合同調査メカニズムが今後、攻撃の実行者の特定に努めるだろうと述べた。
一方、アサド政権を支えるロシア外務省は声明でOPCWの報告書は政治的思惑が動機であり、反政府派から得た疑わしいデータに基づいていると批判した。