ベトナム人ブロガー、「反国家的宣伝」で禁錮10年
(CNN) ベトナムでインターネット上に政府批判の書き込みを行っていた女性が30日までに、「反国家的宣伝を行った」として禁錮10年の有罪判決を受けた。同国の国営メディアが伝えた。
グエン・ゴック・ニュー・クイン被告(37)はブログで土地の収用や言論の自由、警察の暴力などで政府批判を繰り広げ、「あなたが言わなければ誰が言うのか?」のフレーズで有名だった。娘のニックネーム「マッシュルーム」にちなんで「マザー・マッシュルーム」を意味する「メ・ナム」というペンネームで投稿していた。
グエン被告は2009年にも当局の注視する対象となっていた。当時は中部高原のボーキサイト鉱山への中国による資金援助案件で、中国の「干渉」に率直な反対意見を示していた。
国営ベトナム通信(VNA)によれば、グエン被告は昨年10月に「反国家扇動者」として逮捕された。被告のフェイスブックのページは逮捕日を最後に更新が途絶えている。
米政府はベトナムに対し、グエン被告や他の「あらゆる良心の囚人の即時の」解放を求めている。
米国務省のナウアート報道官は「私たちはこの数年、ベトナムで人権状況がいくつか進展してきたのを見てきた。だが2016年初めから平和的な抗議活動に対する逮捕や有罪判決が増えており、非常に憂慮している」と述べた。
人権団体や言論の自由を求める団体からは判決を非難する声が上がっている。
ヒューマン・ライツ・ウオッチのアジア局局長代理フィル・ロバートソン氏は「ベトナム政府は活動家を黙らせ、自由な言論を締め付けるために、あいまいな国家安全保障関連の法律を利用している」と述べた。
米国のペンクラブは判決に先立ち、グエン被告の「無条件釈放」を求める声明を出した。ジャーナリスト保護委員会(CPJ)も判決を「いまわしい不正義」だと非難した。