北朝鮮ミサイル落下の直前、仏旅客機が付近を通過 航空機への危険浮き彫りに
香港(CNN) 北朝鮮が先月実施した大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験で、仏エールフランスの旅客機が直前に、ミサイル落下地点に近い空域を通過していたことが分かった。北朝鮮が予告なく行うミサイル実験は旅客機に危険を及ぼしかねないとして、当局は危機感を強めている。エールフランスは2日、同便の運航に関する問題は報告されていないと発表した。
自衛隊などによると、北朝鮮のミサイルは日本時間の7月29日未明、奥尻島から150キロ北西の海上に落下した。エールフランス293便はその5~10分ほど前に、ミサイル落下地点付近の上空を通過。ミサイル落下時は、落下地点からおよそ100~110キロ北部を飛行していた。
ミサイルが落下したと推定される地点から16キロの圏内は、2つの定期航空路が通過する。
北朝鮮が朝鮮半島東部沿岸沖に向けて発射するミサイルは、日本の領海へと着実に射程を拡大している。
北朝鮮のミサイルは、最高高度3700キロに到達して、奥尻島の近海に落下した。旅客機は9000~1万2000メートルの高度で飛行する。
エールフランスは2日の声明で、北朝鮮のミサイル実験空域は、同航空の飛行ルートに一切干渉していないと強調。293便は問題が報告されることなく無事に飛行を終えたと述べ、「潜在的に危険な飛行空域については常に分析を行い、それを飛行計画に反映させている」と説明した。
北朝鮮のミサイルが航空機の安全を脅かしかねない実態が判明したのは、今回が初めてではない。米国防総省のデービス報道官は7月4日の北朝鮮ミサイル実験を受けて、「民間航空機が頻繁に使用する空域をミサイルが飛行している」と危機感を示していた。
デービス報道官は2日、CNNの取材に対し、予告なくミサイル実験が強行されれば航空機や船舶、宇宙船が危険にさらされかねないと指摘。「無責任な国家は予告なく発射を行う」と非難した。