インド最高裁、プライバシーは「基本的人権」との判決
ニューデリー(CNN) インド最高裁は24日、プライバシーの権利は憲法で定められた基本的人権の一部であるとの判決を下した。
人権擁護活動家とインド政府が対立したこの裁判は政治問題にもなった。判決により同国の生体認証を使った個人識別番号制度「アーダール」への影響も考えられる。
原告側はアーダールの下での国民の指紋や虹彩の情報の取得が個人のプライバシーの権利を侵害していると主張。これに対し政府側の弁護団は、インド憲法ではプライバシーを基本的人権と規定していないと反論していた。
今回の判決にアーダールへの直接の言及はないが、今後、別の最高裁の判事らがアーダールについて判断を下すと見られている。
アーダールは国民1人1人に12桁の番号を割り当て、虹彩や指紋といった生体認証データと紐付けるという制度。すでに10億人を超える国民が登録されている。
プラサド司法相は記者会見で、政府は判決を尊重する立場を示す一方で、「プライバシーの権利は絶対的なものではない。ケースバイケースで判断されるべきものだ」と述べた。
また、野党・国民会議派からの批判については、アーダールが導入されたのは国民会議派政権時代の2009年だったことを強調した。
アーダールはその運用やデータ漏洩(ろうえい)を巡って人権活動家らから批判を受けているが、一方でIT業界のリーダーたちから高く評価されているとプラサド司法相は主張。「世界中がインドの技術に感銘を受けている。私たちは最小限の情報を集め、最大限にこれを活用している」と述べた。