秘密の国の中心へ――CNNが旅した北朝鮮<3> DMZ、ロッドマン、ワームビア
米国の大学生オットー・ワームビア氏はひそかに米政府の飛行機に乗せられた。これは、ワームビア氏にとって故郷への最後の旅となった。
ワームビア氏は2015年12月後半に民間の観光ツアーで北朝鮮を訪れた。そして、ホテルの壁からプロパガンダのポスターを盗もうとしたとして訴追された。ポスターを盗もうとした行為に対する判決は15年の労働強化刑だった。
ワームビア氏は2016年3月、脳に謎の重度の損傷を負い、拘束中に昏睡(こんすい)状態に陥った。家族は、ワームビア氏が拷問を受けた可能性があると考えている。北朝鮮はこれを否定している。
ウィル・リプリー記者は平壌からワームビア氏の悲痛な帰国を伝えたが、同記者にとって、これまでで最も困難なリポートの一つだったという。わずか数週間前に家族と話していたからだ。家族は当時、ワームビア氏の状況がどのようなものか全く知らなかった。家族は、ワームビア氏が家に戻り、食事の席で、彼を捕まえた人たちをどんなふうに魅了したのか楽しく話してくれるものと思っていた。
昏睡状態だったオットー・ワームビア氏は帰宅してから6日後に死亡した。22歳だった。
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次回「秘密の国の中心へ――CNNが旅した北朝鮮<4> 農業と偽ニュース」は10月23日公開