比大統領、EU圏大使の国外退去要求 支持率減少の中で
(CNN) フィリピンのドゥテルテ大統領は14日までに、自らが推進する強権的な麻薬犯罪捜査方法を批判したとして同国に駐在する欧州連合(EU)加盟国の大使に対し24時間内に出国するよう求めた。
批判に対する腹立ち紛れの発言との見方がある。この要求に応じ、出国したEU大使はいないとみられる。超法規的な処刑も指摘されるドゥテルテ氏の麻薬根絶対策については国際社会の批判が根強い。
今回の大統領の言動は、社会民主党系議員らの国際代表団が今月初旬に訪比し、麻薬対策に絡む殺害が続くならフィリピンはEUが付与する一般特恵関税を失う可能性があるとする警告への反応とみられる。
ただ、EUは代表団はEUの使節ではなく、その声明はEUの立場を反映したものではないと説明した。ドゥテルテ氏の大使追放の発言は、今回の批判の出所を誤解した可能性もある。
これに対し比大統領は声明で、代表団は自らをEU使節と誤って名乗っていたと指摘。「フィリピンの国内問題に不当に干渉する全てのグループや個人は主権国家としての我々の立場をおとしめている」と主張した。
ドゥテルテ氏の今回の演説は12日のことで、「馬鹿者」などの言葉を交ぜる激しい内容。外国指導者を対象にした同大統領の痛罵(つうば)は過去にもあり、オバマ前米大統領もやり玉に挙がったことがある。
一方、今回の演説の背景には、大統領の支持率減少が絡むとの見方もある。比世論調査機関は演説の数日前、支持率が大統領就任後初めて50%を割り、48%だったと発表した。警察などはこれまで少なくとも1万2000人を殺害したともされ、過酷な麻薬対策に国民が嫌気をさしているとの指摘もある。