帰国のレバノン首相、辞任を保留 大統領の要請受け
ベイルート(CNN) 訪問先のサウジアラビアで突然辞意を表明していたレバノンのハリリ首相は22日、首都ベイルートでアウン大統領と会談した後に演説し、辞任をいったん保留すると明らかにした。辞意表明の背景についてさらなる協議を重ねるため、辞任を保留するよう求めたアウン氏の要請を受け入れたとしている。
ハリリ氏は4日、自らの命が危険にさらされているとして、サウジの首都リヤド滞在中に辞意を表明。一方、レバノン当局は、ハリリ氏が帰国するまで同氏の辞任を受理できないと述べていた。
ハリリ氏をめぐっては、アウン氏が当時、自らの意図に反してリヤドで拘束されていると主張。ハリリ氏側はこの主張を否定していた。
レバノン国内では、ハリリ氏が人質に取られているとの臆測も飛び交っていた。
ハリリ氏は最終的に、21日遅くにレバノンの首都ベイルートに戻った。22日には、アウン氏とともにベイルートで行われた独立記念日の軍事パレードに参加。続けて大統領宮殿でアウン氏と会談した。
ハリリ氏はこの後ツイッターで、「愛する我が国は今、危険や数々の課題に直面するなかで国を守るため、あらゆる人からの格別の尽力を必要としている」と指摘。こうした取り組みはまず、国内の安定やアラブ諸国との友好関係を阻害する全ての事柄に関し、中立的な姿勢を維持することから始まると述べた。
レバノンなどでは今回の政治的危機を受け、サウジの後押しを受ける政権内の派閥と、イランの支援を受けるイスラム教シーア派武装組織「ヒズボラ」との間の対立激化が懸念されてきた。ヒズボラの政治部門はレバノンの連立政権内で最も強力な勢力となっている。