米、対イラン経済制裁を再開 テヘランでは大規模デモ
イラン・テヘラン(CNN) トランプ米政権は5日、イラン核合意離脱を受けて、イランへの経済制裁を再開した。前日の4日にはイラン首都テヘランで1979年11月に起きた在イラン米大使館人質事件を記念したデモが行われ、参加者からはトランプ政権に対する批判の声が相次いだ。
デモ参加者の1人はトランプ大統領について「正気ではない」と指摘。それでも、イランの最高指導者ハメネイ師の名前を出し、トランプ氏はイランに対して何もできないと語った。別の参加者の1人は、「米国と対決するために人々はここに集まった」と述べた。
5日の措置はイランへの全面的な制裁の再開となる。2015年のイラン核合意を受けて、制裁の一部については一時的に解除されていた。
米国は8月、自動車や航空などの分野を対象に制裁を再開していた。今回の経済制裁はイラン産の石油やガスなどが対象となっている。ポンペオ米国務長官は最終的な目標について、イラン原油の輸出を「ゼロ」にするとしている。
トランプ大統領はこうした経済制裁を、イラン政府との核合意の再交渉につなげたい考え。米国務省がイランによる核合意履行を認定していたものの、トランプ氏は今年5月、イラン核合意からの離脱を表明。イラン核合意について、「ひどい、一方的な合意」などと述べていた。
こうした動きを受けて、欧州の大手企業が相次いでイラン市場から撤退。イラン通貨リアルは約70%値を下げ、インフレ率は上昇した。
トランプ大統領はイラン指導層と再交渉を行う用意があるとの発言を行っている。ただ、その再交渉は全般的なイランの外交政策に関するものとなるという。イラン指導層はトランプ大統領の提案をはねつけている。
専門家からは、イランが核合意について順守するなかでの交渉再開は合意が破綻(はたん)したことを認めるに等しいとの指摘が出ている。