APEC首脳会議、宣言なしで閉幕 米中の対立浮き彫り
(CNN) パプアニューギニアで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は18日、首脳宣言で合意できないまま閉幕した。宣言が採択されなかったのは、同会議が始まってからの25年間で初めて。
会議に参加した情報筋は、参加した21カ国・地域のうち中国以外は合意に達していたと語った。
カナダのトルドー首相は18日夜、貿易問題をめぐる意見の違いが宣言採択の妨げになったと述べた。
交渉にかかわった米当局者によると、中国が最も問題視したのは、「我々はあらゆる不公正な貿易慣行を含めた保護主義と闘うことに同意する」との一節。「不公正な貿易慣行」で事実上名指しされたとの不満があったとみられる。
会議が開幕した17日には、中国の習近平(シーチンピン)国家主席と米国のペンス副大統領が演説で激しい応酬を展開した。
習氏は「歴史が示す通り、衝突は冷戦、武力による戦争、貿易戦争のいずれの形であっても、そこから勝者は生まれない」と述べて拍手を浴びた。
一方、ペンス氏は「米国は長年にわたり中国につけ込まれてきたが、その時代も終わりだ」と宣言。さらに中国のシルクロード経済圏構想「一帯一路」を批判し、「米国は相手国を締め付ける帯や、一方通行の道路を押し付けたりしない」と主張した。
中国外務省の報道官は声明でこれに反論し、中国の経済協力は相手国が自力で発展し、国民の生活を向上させるのに役立っていると強調した。
ペンス氏はさらに、米国がオーストラリアと合同で、パプアニューギニアのマヌス島にある海軍基地の増強に協力すると発表した。中国による南シナ海の軍事化などに対抗する動きとみられる。