過労死に追い込まれる韓国の労働者<下> 緩やかな前進
韓国雇用労働部は8月、この改革により約4万3000人の雇用が創出されたと発表した。企業が既存の従業員に残業を強いることができず、新たに従業員を雇わざるを得なくなったためだ。
しかし、すべての雇用者が改革にすんなり応じたわけではない。
郵便局では新法の施行後も労働条件はほとんど変わらず、郵便配達員が過労を苦に自殺する事件が相次ぎ、労働組合のメンバーがハンガーストライキを行う事態となった。
その結果、2017年8月、青瓦台(大統領府)の仲介で、郵政事業本部(コリアポスト)、郵便局労組、独立の専門家らによる、郵政事業の労働条件を調査・検討するための合同委員会が設置された。
委員会の調査の結果、2000人近くの郵便局員が平均で年間3000時間以上、週58時間以上勤務しており、職場のストレスのレベルは、看護婦、消防士、戦闘機のパイロットよりも高いことが分かった。この調査結果を受け、郵政事業本部は来年に1000人、2020年にもう1000人の職員を雇用することに合意した。労組のメンバーはこの結果を歓迎し、ハンガーストライキの終結を宣言した。
パクさんは毎月補償を受け取っており、支援も受けている。それでも、夫の死が悲しい記憶であることに違いはない。兆候に気付けていればという罪悪感にいつもさいなまれるという。「生きていこうとしているが、罪悪感は常に心の奥底にある」
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