マクロン仏大統領、デモ受けテレビ演説 最低賃金引き上げなど発表
パリ(CNN) 大規模な反政権デモが続くフランスで、マクロン大統領が10日、国民に向けてテレビ演説し、最低賃金の引き上げをはじめとする改革を発表した。
仏国内のデモは燃料税引き上げへの反対運動から始まり、引き上げが延期された後もさらに拡大。住環境や移民政策に抗議する勢力も加わって、マクロン氏への退陣要求に発展している。
同氏は演説で、暴力的なデモは容認できないと強調。一方で、最低賃金を来年1月から月額100ユーロ(約1万3000円)引き上げ、年金や残業手当には課税しないと表明した。富裕税の復活には応じないとしつつ、脱税を厳しく取り締まる方針を示した。
デモ参加者らの懸念は「正当」な内容だと認めたうえで、デモ隊の暴力行為を非難。「いかなる怒りをもっても、警官を襲撃したり公共の場所や店舗を略奪したりする行為は正当化されない」「暴力が起きれば自由は失われる」と力説した。
国民の不満は「過去40年間の沈滞」が原因との見方を示しながらも、現政権がそれに適切に対処してこなかった責任を取ると述べ、「我が国は今、歴史的な転換点にある」と訴えて結束を呼び掛けた。
仏教育当局によると、この日の午前には全国120の学校で生徒らが政府の教育改革に抗議し、うち40校は完全に封鎖された。