仏全土の速度違反探知カメラ、6割が破壊 黄色いベスト運動で
(CNN) マクロン大統領の政策に反発してフランス全土で今なお続くジレジョーヌ(黄色いベスト)運動に関連し同国内務省は19日までに、全国の道路に設置される固定式の速度違反取り締まりカメラの6割が同運動のデモ参加者らによって破壊されたと報告した。
運動が本格化した昨年11月17日以降の被害となっている。仏政府が昨年7月、激増する交通事故死の減少を狙い、2車線高速道路を対象に速度制限を従来の時速90キロから時速80キロにしたことへの反発が原因。
壊されたカメラは最大65%との指摘もある。南東部ボクリューズなど一部の県では9割以上との被害が報告された。
仏通信社「ユーロプ1」は昨年12月、短期的もしくは長期的に使用不可能なカメラは全体の約半分に当たると報道。大半が燃やされ、一部はスプレーの噴射などを浴びていた。
2車線高速道路を対象に速度制限を従来の時速90キロから時速80キロにしたことへの反発が強い/PASCAL POCHARD-CASABIANCA/AFP/Getty Images
新たな速度制限への反発は強く、黄色いベスト運動の最盛期には交差点封鎖などの行動もあった。仏世論調査機関「Ifop」は、速度制限は庶民にとって日常生活に関係する問題とし、国民の約7割が反対していると報告した。
地元の経済誌によると、カメラの修復では被害が軽微なら費用は500ユーロ(約6万2500円)。全面的な交換なら6万~8万ユーロという。
速度違反の罰金が減れば政府の歳入減は数十億ユーロに達するともされる。カメラ破損や破壊で捕まれば最高7万5000ユーロの罰金と最長5年の禁錮刑判決になる。
フィリップ首相は先月、地元紙の取材に交通事故の犠牲者は毎年3500人で負傷者は7万人と指摘。数十年間は改善が見られていたが、死傷者数は現在、悪化しているとした。